[STS] [読書]Vannever Bush, ”Science the Endless Frontier” http://www.nsf.gov/od/lpa/nsf50/vbush194
from Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録
(2009-12-25 9:00)
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これは基礎科学の擁護に関する基本的な文献の一つと言っていいだろう。ちょっと読んでみたので軽く紹介する。私自身の関心は次のような点だ。基礎科学の成果はその性格からして、未知のものである以上、それが産業に応用可能か、どうか、ということは基本的に知りえないことである。第一に、この時点で、ブッシュはいったいどんな論理を用いて、基礎科学の有用性を主張したのか、ということ。第二に、その上で、彼はどういう論理を用いて、国家による基礎科学支援を正当化したのか、ということである。 ブッシュは、アメリカの電気工学者で、重 ...
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[日記]イギリス16日目
from Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録
(2009-12-24 9:00)
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朝からニーダム研で仕事。この日の朝は半分解けた雪が夜の間に凍りつき、道がアイススケート場状態で、とても自転車では走りにくい。慎重にハンドルを切らないとすぐに転んでしまいそうだ。自動車のほうは自転車よりもさらに怖いのだろう、のろのろと走っている。イギリス人は雪かきということをしないようで、大きな道路以外はほったらかしなのである。 作業は一応完了。学位論文以外の読書ノートもだいぶあるので、これをどう資源化するか、という問題を考えなければならない。 結局、ジレンマはこういうことだ。資料は一つの研究、一つの論 ...
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[日記]
from Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録
(2009-12-23 9:00)
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朝からニーダム研で仕事。まったくだれもいないわけでもない。 庭に雀らしき鳥が飛んできている。イギリスの雀は妙に丸っこい。 ランチはお湯をかければよいだけの、レンズ豆のカップスープを食べてみた。なかなかイギリスらしいまずさである。 ノートの整理のほうは、とりあえず一つのファイルにまとめたノート1800ページのうち、800ページほどについて、見出しをつける作業を行った。明日ぐらいには終えたいのだが。 ハーバードに行く前に日本でやっていた作業については、読書ノートが98だったり、マックだったりしていて、今で ...
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[時事][雑]いわゆる「暫定税率」維持をあえて支持する
from Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録
(2009-12-23 9:00)
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現政権の評判の悪い「詐欺」行為だが、私はこれをあえて支持したいと思う。もともと、私は、ガソリン税に関しては、民主党政権が道路目的税としての暫定税率を廃止し、それに置き換わる、あるいはそれを上回る炭素税のような環境税をかわりに導入し、当然それは一般財源化することを期待していた。環境税はガソリンだけの問題ではないが、環境税の枠組みができるまでの措置として、暫定税率を維持して、それを一般財源化するのには、まったく異論はない。少なくとも、もし温暖化対策をするのであれば、自動車関係の税金は、上げる必要こそあれ、 ...
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[日記]イギリス14日目
from Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録
(2009-12-22 9:00)
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火曜日。いまだに雪が残っている。自転車のサドルの上にちょっと積っているので、夜また少し降ったかもしれない。凍りついていて、落とせない。 朝からニーダム研へ行って仕事。過去のノートを整理する作業。ファイルにまとめていく作業を終了した。あとは中身を整理して、重複を削り、インデックスできる状態にする作業だが、さて、どうやろうか。 目の前の庭に、ときどき鳥が飛んできて、ちょっとしたバードウォッチングができる。雪の庭の木の枝に鳥がとまっている風景はなかなか絵になるのだが、写真を撮ろうと外にでると、逃げて行ってし ...
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[日記]イギリス滞在13日目
from Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録
(2009-12-21 9:00)
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月曜日。もうこの日からニーダム研の常勤スタッフは出勤せず、ロビンソンカレッジはしまっていて、ランチも食べれない。一応、ニーダム研のカギはもっているので、出入りはできるのだけれど、結局、この日は自室で仕事をすることにした。 年末年始の間、どういう形で仕事をするか考えないといけない。部屋でも仕事をできる環境はあるのだが(ただし、ニーダム研の図書は持ってこれない)、あまり自室に閉じこもっているのもよろしくない。 この日は、私が会計をやっているIASCUD (International Association ...
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[日記]イギリス12日目
from Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録
(2009-12-20 9:00)
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日曜日。今日も割合と天気が良い。昨日と同じように、昼に街に出た以外は、ずっと自室で過ごす。 ずっとほったらかしにしてあった、学位論文執筆のころのノートを整理し始めている。整理し始めて、すさまじい状態だったことに気づいている。同時に、かなりのデータが失われていることにも気づく。 アメリカに留学して、しばらくの間は、自分のコンピュータは持っておらず、大学の端末を使用していた。メールはPineで読み、論文はemacsを使ってTexで書く、ということをしばらくやっていた。文科系のくせにTeXで論文を書くような ...
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[日記]イギリス11日目
from Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録
(2009-12-19 9:00)
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土曜日。天気は割と良い。雪は降っていないけれど、溶けないでだいぶ残っている。部屋で過ごすが、昼に昼食と買い物にちょっと出かける。 ランチは、また広場の屋台で、タイ料理。パッドタイのライスヌードルのを試してみたが、ちょっと今一な気がする。まあ、値段を考えれば。 ちょっともうすこし何か食べてみよう、ということで、マーケットのかどにお店のある、West Cornish Pasty and Co.で、Pastyを試してみる。これはチェーン店だtとおもうけれど、何やらいつも昼どきには行列ができていて、たいそうな ...
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[日記]イギリス10日目
from Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録
(2009-12-18 9:00)
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朝起きると、外が明るい。よい天気で、しかも雪がつもっていた。ケンブリッジに木が多いためだろうか、枝の上に雪が載って、木の枝が白くふちどりされ、なかなか風情のある景色である。 下は、通勤途中にあるThe Crescentという半円形の建物。多分、アパートか学生寮みたいなものだと思うのだが、なんとなく住んでみたい建物である: 次の写真は、ニーダム研の入口から外を望む写真: そして、下は私のオフィスからの眺め。 次の写真はランチを食べにいく途中に撮ったもので、ロビンソン・カレッジの庭園。 イギリスで ...
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[雑][STS]研究における動機と効果の乖離
from Cerebral secreta: 某科学史家の冒言録
(2009-12-18 9:00)
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基礎科学についての議論で、ひとつ話をややこしくしているのがこの点である。これはある意味わかりきったことかもしれないけれど、意外なほど無視されているようにも思われる。 基礎科学研究の動機と理想的な研究環境 第一に、基礎科学に関係するような研究者にとって研究という活動を行う動機は、基本的には、その研究が興味深いからである。興味深い、というのは実に主観的な表現だが、実際、主観的だからこそ、強力な動機になるのである。このことがテーマの選定や、研究成果の評価にも関係するし、何よりも研究者を研究に駆り立てて、知的 ...
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